[法律] 児童福祉法2条の改正について

平成28年に児童福祉法が改正されましたが、第2条が改正されました。
この2条に焦点を当てて問題点を指摘したいと思います。

旧児童福祉法

国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。


新児童福祉法

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
○2 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
○3 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。


ポイント

旧: 地方公共団体と保護者とともに育成する責任を負う
新: 児童の保護者は育成について第一義的責任を負う+国及び地方公共団体は育成する責任を負う

改正前は地方公共団体と保護者に育成する責任が定められていましたが、改正後は保護者に対し第一義的責任を負うように定められました。そのバックに国及び地方公共団体が定められました。

解説

昨今、地域が一体となって育成支援をする環境がなくなってきており、問題となっていますが、それを加速させるかのように改正をしました。

第一義的責任を定めたことで責任の所在を明確にしたのでしょうが、改正前の一体となって地域で育成する支援環境がなくなる法改正となってしまいました。

良くなったと点は国にも育成する責任が定められたことでしょうか。


まとめ

  • 第一義的責任は保護者
  • そのバックに国と地方公共団体
  • 責任の所在をはっきりさせたが、地域で育成支援する環境がなくなった
2016年に総則が改正されたことは制定後はじめてのことで、時代に合わせた改正だったのでしょうが、2条には疑問が残るということです。

どう捉えるかは皆様次第ですが、こういう考え方もあるということで今回の記事は終わりにしたいと思います。